2020年6月1日月曜日

公認会計士試験合格者と修了考査合格者の推移

まずはこの表。

修了考査受験者と合格者、合格率の推移です。
平成29年度までは70%で推移していましたが、平成30年度から急激に下がっていて、令和元年はついに50%を切ってしましました。
修了考査受験者に対する合格者という比率でみてるとそうなりますが、さかのぼると修了考査を受けるのは公認会計士試験に合格した人が実務を経てもっぱら3年後に受けることになるので、3年前の公認会計士試験合格者を分母にしてどれだけ修了考査をパスしているのかというのを調べたものがこんな感じです。(短縮や休所生等は考慮してません)



右端の数字がそれです。
平成25年以前の数字は旧試験の合格者が含まれていたりしてデータが異常なので削除しました。
見ての通り、合格者数だけ見ると3年前の公認会計士試験合格者とほぼ同じです。
公認会計士協会としては、公認会計士試験に合格した人はなるべく全員に公認会計士資格を与えようとしている意図がうかがえます。
平成29年度まではですけど…

平成30年度で劇的に修了考査の合格率が下がり、令和元年度も合格率が下がったと思われていますが、3年前の公認会計士試験合格者に対する比率でみた場合、思ったよりは下がっていない感じです。
過年度の合格率が低いと、過年度受験生が受験生の分母に追加されるため、分母を受験者数で取った場合、合格率が下がっていくのは自明ですね。
そんなわけで、個人的には合格率を見る場合は分母を修了考査受験者数よりも、3年前の公認会計士試験合格者にした方がいろいろ見えてくると思ってます。

では、これを参考にして、令和2年のデータを予測してみます。
令和元年修了考査が残念な結果となった方はほぼ令和2年の試験を受けると想定されますので、これに平成30年の公認会計士試験合格者を加えると、予想受験者数は2123人に及ぶと思われます。



公認会計士試験合格者を分母にとった合格者(右端)が令和元年と同じ水準(77%)程度だと悲観的に推定した場合の合格者数は948人で、修了考査受験者に対する合格率は44.6%まで落ち込みます。
一方、平成29年度の水準(95%)に戻るという楽観的な推定をした場合は合格者は1169人程度で、合格率は55.1%です。
ここ2年で合格率の締め付けにより、過年度からの受験者数が増えているため、公認会計士試験合格者数に対する合格者数の水準が戻ったとしても分母を②修了考査受験者に取った合格率は以前の70%水準にはすぐには戻らないことになります。

そしてこのような「公認会計士試験合格者数 < 修了考査合格者数」という状態が続いていった場合のストーリーをこの先5年くらいシミュレートしてみました。


公認会計士試験合格者はこの先も1300人くらいで続いていき、公認会計士試験合格者を分母にした合格率(右端)は77%で推移するという前提です。
すると受験生がどんどん滞留していって、令和6年には修了考査の合格率がついに30%を切ってしまいました。
受験者数も令和4年で過年度受験者がJ3ではじめて受験する人数を上回ることになります。受験者数もほどなく3000人を超えるでしょう。受験会場の確保も大変なことになりそうです。

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2021年7月に実務補習の規定が改訂されたのでポイントの紹介です。 主な変更点は講義や単位の取り方の変更なので、課題研究や考査への影響はなさそうです。 2021年入所から適用されるので、 2020年期までに入所している人には適用されません 。 ライブ講義・eラーニングの区別がなく...