公認会計士試験に合格したら、公認会計士登録の要件である実務補習所に通い必要数の単位を取ることになりますが、取得しなければいけない単位には以下の種類があります。
- 講義を受講する(270単位以上)
- 考査(テスト)を受けて一定以上の点数を取る(60単位以上)
- 課題研究(論文)を提出して一定以上の点数を取る(36単位以上)
1つめの講義単位を取り終わったので、講義単位の取得について総括します。(考査と課題研究の単位については触れません)
補習所の講義について
補習所の講義には公認会計士会館などに集合してみんなで受けるライブ講義と各自のPCやスマホなどで受けられるeラーニングがあります。
ライブ講義には座学による講義と班ごとにグループでテーマについて話し合って発表したりするディスカッション、ゼミナールがあります。
このほかに今年は中止になってしまいましたが、宿泊研修や工場見学などもあって、これもライブ講義の単位になります。
講義で取得しなければいけない単位
(註:必修単位数などは毎年変わる可能性があるので、必ず自分で最新の情報を確認してください)
講義単位の取得条件はいくつかあってちょっと複雑です。
補習所の講義は1年目のJ1から3年目のJ3まででそれぞれの学年の講義が用意されていて、短縮生でなければ当該学年になって受講することになります。
- J1で180単位以上取得する
- J2で40単位以上取得する
- J3で20単位以上取得する
- ぜんぶで270単位以上取得する
- J2でライブ講義の単位を12単位以上取得する
- J3でライブ講義の単位を6単位以上取得する
- ディスカッションまたはゼミナールで15単位以上取得する
- ディスカッションまたはゼミナールの少なくとも3単位分はJ2またはJ3で取得する
- 必修科目を14コマ受ける
ポイントは、J1,J2,J3の必修単位を取得しても240単位にしかならないため、ぜんぶで270単位に届かせるためには30単位を余計に取得しなければいけない点にあります。
講義数の分析
効率よく必要な単位を取得していくために、具体的にどの種類の単位がいくつ用意されているのかを分析します。
学年ごとの講義数と単位数
学年ごとの講義数と単位数は次の通りです。
これを元に、各学年と全体で取得しなければいけない単位数と取得率をまとめたものがこちらです。
J2は開講数に対する要取得単位にけっこう余裕がみられます。
ディスカッション、ゼミナールの単位数
J1に単位が集中してますが、要取得の15単位の2倍の30単位分の講義が用意されています。
J3の2コマ6単位のうち、1コマ3単位は必修科目の単位になります。
学年ごとの必修科目
必修科目もJ1に集中しています。
J3の5単位には必修のゼミの1科目3単位と1科目2単位のライブ講義が含まれています。
単位取得のポイント
以上を踏まえて、どうやって効率よく単位を取得していくかについて検討していきたいと思います。
各学年の単位と合計270単位の取得について
時間が取れるJ1のうちに単位をたくさん取っておくことを推奨されていますが、J2は取得可能単位数(116単位)に対して要取得単位数(40単位)が少ないので、J1は180単位超えるくらいを取っておいて、J2の単位を取るという考えもあると思います。
J2は後期に法人税法関連のライブ講義が9コマあるので、全部出席すると27単位付いてきます。他にも国際税制や税効果などの税金関連の講義が用意されているので、前期はあまりとらなくても達成できると思います。(註:2020年期は法人税の講義は前期になりました。年によってスケジュールが違うようなので最新のスケジュールをご確認ください)
J3の要取得単位である20単位はすぐに取れます。必修科目を取ると5単位取れるから15単位、5コマ分を取れば足ります。
ライブ単位の取得について
J2で12単位、J3で6単位のライブ単位の取得が要求されていますが、これはそんなに神経質にならなくてもよいかと思います。
J2だけ気を付ける必要があります。J2の必修単位の40単位をeラーニングだけで取れてしまうので、ライブで4コマ分受けることを忘れないようにしましょう。たぶんJ2は税務考査対策で法人税関連のライブ講義を受けると思うので、これを受ければ27単位は取れます。
J3の6単位については、必修のゼミとライブ講義だけで5単位とれるし、eラーニングを全部受けて13単位を追加しても20単位には届かないからライブに出なければいけないので勝手にライブの6単位が取れてると思います。
ディスカッション、ゼミナールの単位について
合計で15単位(5コマ)受けることになりますが、J3に必修のゼミがあるので、実質4コマ12単位とれば足ります。
J1で4コマ取ってもいいし、J1に1コマだけ取ってJ2で2コマJ3で必修ともう1コマとって挽回することも可能です。
J2のディスカッション、ゼミナールを受けようとする場合は注意が必要です。こちらは事前予約制だったのですが、1月に開講するため12月中に予約を打ち切ってしまうので忘れないようにしましょう。
あと、ディスカッション、ゼミナールの3単位分はJ2またはJ3で取得しなければいけないという条件がありますが、こちらはJ3の必修ゼミを取れば勝手に取れるので気にしなくてもいいです。
今年(2019年合格生年度)はコロナの影響でディスカッション、ゼミが中止になっているので心配している人も多いかと思いますが、現在1コマだけでも取っていればJ2,J3のディスカッション、ゼミで挽回することが可能です。それ以前にJ1で中止になったディスカッション、ゼミは短縮生向けに縮小開催された点からも、来年以降に受けられるようになると思います。
J3の必修のゼミのうれしい効果
J3の必修のゼミがかなり汎用性高いです。必修なので必ず受けなければいけないのですが、これを1つ受けるだけで次のような効果が得られます。
- 14科目ある必修単位が1つ取れる
- 15単位取らなければいけないディスカッション、ゼミの単位に算入できる
- J2またはJ3で取得するディスカッション、ゼミの3単位はこれを取ればクリアできる
- J3でとらなければいけない20単位に算入される
- J3で取得しなければならない6単位分のライブ単位に算入できる
J3の最後に受けるゼミなのでJ2までの単位計算の参考にするとよいかもしれません。
まとめ
まとめると、以下の点に気を付けていれば補習所の講義単位は取れると思います。
- 必修の14科目を忘れずに取る
- 各学年で必要な単位数は計算してしっかり取っていく
- 各学年の必要単位だけで足りない30単位はJ2で取るのがおすすめ
- J2はライブの必修単位があるのでeラーニングばかりやらない
- J2は後期に税務関連の講義が集中しているので前期にそれほど張り切って取らなくても大丈夫
- J3は普通に受けていれば大丈夫
- ディスカッション、ゼミはJ3の必修の1コマを除いた4コマ分をJ2までに取っておけば安心
あと、いろいろ書きましたが、純粋に補習所の講義はおもしろいものが多いので必要な単位数を確保しつつ、興味のあるものは片っ端から受けるのもいいですよね。
追記
今年(2019年合格生度)の講義をベースに総括しましたが、今年はコロナの影響でカリキュラムがイレギュラーだったし、来年以降はライブ講義やディスカッション、宿泊研修の在り方について方針が変わるかもしれません。
毎年カリキュラムは見直しされているので、今後も使える情報になるかは不明ですが、ご参考になればと思います。
カリキュラムや単位数については、2020年4月くらいに公表された東京補習所の講義科目一覧から計算しています。
その後に追加された講義や地域別に異なる科目は反映されていないことについてもご了承ください。